皮膚科医が解説!デリケートゾーンのかゆみの原因と対策とは

皮膚科医が解説!デリケートゾーンのかゆみの原因と対策とは

デリケートゾーンのかゆみって、外出先で発生すると人前で対処ができないので辛いですよね…。特に冬は厚手のタイツやガードルで下半身が温まるとムレてかゆみに繋がることも。今回は素敵な皮膚科の先生に、ムレからくるかゆみの対策について教えていただきました!

素敵な先生がいらっしゃるクリニックにお邪魔してきました!

タマケアLab.編集部が伺ったのは、東京メトロ日比谷線の入谷駅から徒歩3分のところにある「つちやファミリークリニック」。この地域のかかりつけ医として、幅広い年齢層の患者さんが訪れます。

院内にはこんな飾りも。ところどころに可愛い工夫があって、患者さんをあたたかく迎えてくれる雰囲気が素敵でした!

お話を聞いたのは、このクリニックで皮膚科と美容皮膚科の診療を担当されている土屋佳奈先生!普段はなかなか恥ずかしくて聞けないデリケートゾーンのことを色々と質問してみました。

土屋 佳奈先生
東京医科大学卒業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医として、JR東京総合病院に勤務した後、尾泉医院(現「つちやファミリークリニック」)に勤務。

デリケートゾーンのかゆみの原因とは?!

デリケートゾーンがかゆくなりがちなのは何故ですか?

デリケートゾーンがかゆくなりやすい原因としては、「通気性が悪くムレやすい」「摩擦が起こりやすい」「刺激に弱い」ということが挙げられます。

構造として皮膚同士が密着しているのに加え、下着がずっと密着しているのもデリケートゾーンならではの特徴です。そもそもデリケートゾーンは女性の体の中でも、とっても通気性が悪い場所なんですよ。さらに、汗だけではなく膣からも分泌液が出るので、ムレに繋がりやすいんです。

さらに、服や下着で摩擦が起こりやすいのもデリケートゾーンの特徴です。この時期になると患者様にもよく見受けられるのですが、ガードルや蓄熱素材のタイツなど、熱がこもりやすくデリケートゾーンを締め付けるものを重ね着している方が多いんですね。これはさらなるムレにつながるのはもちろんのこと、摩擦でデリケートゾーンがこすれてしまうことにも繋がります。

そして実は、外陰部は皮膚の角質層(バリアになるところ)が他の体の部位よりも薄く粘膜が混在しているため、そもそも摩擦による刺激に弱い部位なんです。そのため、服や下着による摩擦が続くと皮膚が刺激を受けてかゆみを感じてしまうんですよ。

特に生理の時にデリケートゾーンがかゆくなる気がするんですよね…。

そうですよね。生理中は肌全体が刺激に敏感になりやすく、デリケートゾーンも同様にかゆみを感じやすくなるんです。それに、経血でデリケートゾーンがムレる、生理用ナプキンで通気性がさらに悪くなる、摩擦が発生するなど、生理時にはかゆみに繋がる原因が多い。

ナプキンではなくタンポンに変えたり、ナプキンを使うにしてもコットン100%のものにしたりすることでかゆみが軽減する場合もありますので、生理中のかゆみが辛い方は試してみるといいでしょう。

ここまでデリケートゾーンのかゆみの原因をお話してきましたが、もちろん、皮膚のかゆみではなく性病やカンジダなどの病気が原因のかゆみもあるので注意が必要ですよ。

確かに皮膚の炎症によるかゆみではなく、病気によるかゆみの場合もありますよね…!その違いはどのように見分けたら良いのですか?

デリケートゾーンがかゆくなった時に、明らかにいつもよりおりものの量が多い場合や見た目が違う場合は病院に行きましょう。例えば、白くてヨーグルトのようなポロポロしたおりものが出る場合はカンジダ、黄色っぽくて泡っぽいおりものが出る場合はトリコモナスの疑いがあります。

このような症状の時は皮膚科ではなく婦人科に行きましょうね。もちろん、このような症状がなく皮膚のかゆみであれば皮膚科でも問題ありませんよ!

自分でできる、デリケートゾーンのかゆみ対策

摩擦に弱いデリケートゾーンを刺激しないために、日々の服装はどんなポイントに気をつけたらいいでしょうか?

普段からデリケートゾーンの通気性が良くなるような服装を心がけるのが良いと思います。パンツばかりではなくスカートも履く、タイトすぎるガードルやパンツを避けるということから始めてみるといいですよ。
特に、デリケートゾーンにかゆみがあるときは、蓄熱素材のタイツやパンツは避けたほうがいいでしょう。

なるほど!気をつけてみます。通気性に加えてデリケートゾーンを清潔に保つことも重要だと思うのですが、お風呂での適切なケアを教えてください。

デリケートゾーンがかゆい時に汚れが原因だと思ってゴシゴシ洗ってしまう人が多いようですが、結局そのゴシゴシが摩擦に結びついてかゆみを悪化させてしまうケースがあります。

さらに、デリケートゾーンはもともと常在菌がいて自浄作用があるのですが、洗いすぎると常在菌を殺してしまうんです。特に普通の石鹸は中性〜アルカリ性のものが一般的ですが、膣の周りは弱酸性なのでアルカリ性に近いもので洗うとPHバランスが崩れてしまうんですね。

ですから、デリケートゾーンを洗う際は、弱酸性で低刺激の石鹸がいいと思います。デリケートゾーン専用のソープもありますが、「専用」という言葉を鵜呑みにせず、ちゃんと自分で成分を調べて低刺激のものを選びましょうね。

ちなみに、私はいつも患者さんにオーガニックや無添加、肌に優しいとうたっている商品を一概に信じないでと伝えています。というのも、天然由来の成分でも、肌にあわずかぶれてしまうことがあるからです。

新しい洗浄剤を試すとき、心配であれば、デリケートゾーンを洗う前に腕などでパッチテストしてみるといいですよ!

良かれと思ってやったことが裏目に出ることもあるのですね。ちなみに、デリケートゾーンがかゆくなってしまった時にはどうケアしたらいいですか?

症状が軽い場合や、すぐに病院に受診できるタイミングがない場合は、市販の薬を塗って様子をみても良いでしょう。市販のお薬は大体1日に2回塗るタイプのものが多いので、お風呂で洗った後に1回、朝着替えるタイミングで1回塗るのがおすすめです。朝、お薬を塗る時には手は洗ってくださいね。

また、排泄したあとに患部をウェットティッシュで拭いてから薬を塗る人もいるようですが、デリケートゾーン専用のウェットティッシュであっても摩擦による刺激が増したり常在菌を殺してしまったりするのでおすすめできません。

自分で市販の薬を試して3日程経っても症状が変わらない場合や、症状が悪化してしまったと感じたら、速やかに医療機関を受診してくださいね。

ちなみに脱毛ってデリケートゾーンのかゆみ対策になるのですか?

なると思いますよ!陰毛があるとそこに雑菌がつきやすいですし、生理中も毛に経血がついてムレの原因になってしまうことも多いので、アンダーヘアの処理やお手入れはかゆみ対策の一つになり得ます。

デリケートゾーンはしっかりいたわってあげて!

土屋先生曰く、経血が多い方やおりものが多い方など体質によってデリケートゾーンがかゆくなりやすい人もいるのだそう。でも、一度治癒するとデリケートゾーンのかゆみで悩んでいたことを忘れてしまい、おりものシートをつけっぱなしにしたり、蒸れるような服装をずっと続けてしまったりしてかゆみを繰り返してしまう人が多いとのこと。

まずは普段の習慣を見直して、デリケートゾーンをいたわってあげることが大事ですね。

土屋先生、ありがとうございました!

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