【医師監修】こどもが病院を受診する目安は?受診に必要な持ち物も紹介

【医師監修】こどもが病院を受診する目安は?受診に必要な持ち物も紹介

こどもの体調は急に変わることも。まずは慌てず、どのような症状かしっかりと見極めましょう。この記事では、こどもが急病になったときの対処方法、病院を受診する目安、病院を受診するときの持ち物などについてご紹介していきます。こどもが病気になった時に、すぐに判断できるよう、知識を身につけておきましょう。

こどもの急病

こどもの体調は、夜間急に変わることがあります。そのような場合、すぐに病院に行くべきか悩むところ。こどもが病気になったらとるべき行動をご紹介します。

症状を把握する

こどもの体調がおかしいときは、診察時間内に、できるだけ早くかかりつけ医を受診しましょう。こどもの異変に気がついてあげれるよう、普段からこどもの様子を観察しておくことが大切です。

こどもの体調は、夜間急変することがあります。夜間や休日に病気になった場合は、こどもの症状を把握し、病院にいくべきか判断しなければなりません。明らかに顔色が悪い場合などは、なるべく早く救急外来を受診するようにしましょう。

こども医療電話相談に連絡

病院を受診するべきか、判断が難しい場合は、こどもの医療電話相談「#8000」に連絡し、相談してみましょう。こどもの医療電話相談に連絡すると、住まいの都道府県の窓口に繋がります。

看護師などが電話対応、症状ごとの対処法や受診する病院のアドバイスなどをしてくれます。多くの自治体が「19:00~翌朝8:00」で対応していますが、時間帯は自治体によって異なるため、前もって確認しておきましょう。

救急車を呼んだ方が良いケース

こどもの症状が、下記のような症状であれば、すぐに「119番」に電話し、救急車を要請しましょう。

・意識がない、朦朧としている
・痙攣が止まらない、痙攣が止まったのに意識が戻らない
・顔の色が明らかに悪い
・呼吸が弱い
・手足が硬直している
・痛みの激しい火傷、広範囲の火傷
・水に溺れた
・高いところから落ちた
・物をのどに詰まらせて呼吸が苦しい
・手足が硬直している
・出血が止まらない
・嘔吐が止まらない
・生後3か月未満の赤ちゃんの高熱(38度以上)

こどもが上記のような症状だった場合、慌ててしまう保護者の方が多いですが、保護者の方は一度落ち着き、症状や状況を正確に伝えるようにしましょう。

こどもの症状と病院を受診する目安

こどもが急病してもすぐに対処できるよう、病院を受診する目安を把握しておきましょう。こどもの急病は、早めに対応することが大切です。

発熱

こどもの熱が38度を超えると心配になりますが、まずは様子を観察しましょう。水分や食事が取れている、機嫌は悪くない、睡眠が取れている、発熱以外の症状がひどくないといった様子であれば、夜間は自宅で様子を観察し、通常の診察時間内に受診しましょう。

ただし、母からの免疫で守られているはずの生後3ヵ月未満の乳児が発熱した場合、重篤な細菌感染症の恐れがあります。水分や食事が取れていない、おしっこがほとんど出ていない、呼びかけてもすぐに眠ってしまう、機嫌が悪い、あやしても泣き止まないでぐずっているといった様子であれば、すぐに救急外来を受診しましょう。

夜間の咳は、苦しそうな様子でなければ、朝まで経過観察で大丈夫です。咳が苦しそうでない様子とは、睡眠や食事が取れている、咳がすぐに落ち着く、喘息の持病があるが、内服薬や吸引によって症状が良くなった場合などです。

逆に、咳で気をつけなければいけない様子とは、犬の遠吠えやオットセイの鳴き声のような咳、咳で呼吸が苦しそう、横になれない、動けない、顔色が悪い、ゼイゼイやヒューヒューといった音がほとんど聞こえない、呼吸が早い、肩で息をしている、息を吸った時に、肋骨の間や鎖骨の上、喉などがくぼむ、顔色や唇の色が青いなどです。このような症状があれば、すぐに救急外来を受診しましょう。

腹痛

乳幼児が泣き止まないときは、腹痛が原因の可能性が。お腹が張っていないか、一定の部位を痛がっていないかを確認しましょう。便秘による腹痛の場合は、おなかを「の」の字を描くようにやさしくマッサージすると、楽になることがあります。

しかし、下記のような症状がある場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。

・おなかをかがめて痛がっている
・少しおなかを触っただけで痛がる
・陰嚢や足の付け根がはれている
・血便が出た

こどもの腹痛は、保護者からはわかりづらいですが、こどもの様子や便などをしっかりと観察し、症状を把握してあげましょう。

嘔吐や下痢

嘔吐や下痢の症状がある場合は「脱水症状」にならないよう、気をつけておきましょう。嘔吐の症状がひどいときは、水分を摂取するだけでも嘔吐をする場合があります。このようなときは、30分から2時間ほど水分の摂取を控え、様子をみましょう。あまりにも嘔吐や下痢の症状がひどいとき、おしっこの量が極端に少ないとき、意識がぼんやりとしているときは、なるべく早く病院を受診しましょう。

けいれん

けいれんとは、運動に関係する神経の働きの異常により、からだ全体やからだの一部がつっぱったり、ピクピクしたり、脱力したりする症状のことを言います。白目になったり、呼びかけをしても反応がないこともあります。こどもがけいれんを起こすと、とても慌てますが、まずは落ち着いて、けいれんの時間を計るようにしましょう。けいれんの時間が5分以内であれば、ひとまず大丈夫です。

こどもがけいれんを起こした場合は、平らなところに寝かせましょう。吐き気を伴っているときは、あお向けに寝かせた状態で嘔吐すると、吐いたものがのどに詰まって窒息する可能性があるため、顔は左右のどちらかに横向きにします。けいれん中は、ゆすったり、たたいたり、大きな声で呼びかけたりして刺激を与えたりしてはいけません。また口の中に物や指を入れないようにしましょう。指をかまれたり、こどもが窒息する恐れもあります。

けいれんが5分以上続いた場合や意識が戻らない場合は、すぐ「119番」に連絡しましょう。初めてけいれんを起こした場合は、なるべく早く救急外来を受診。2回目以降のけいれんで、けいれんの時間が5分以内の場合は、かかりつけ医やこども電話相談に連絡し、指示をもらいましょう。

こどもがけいれんを起こした場合は、様子を観察し、医師に詳しく伝えることが大切です。けいれんの時間やけいれん中の眼の位置、手足の動き、けいれんが片側だけに起きてないかといった左右差などの様子を見ておきましょう。

病院を受診するときのポイント

病院を受診するときに必要な持ち物やこどもの症状の伝え方などをご紹介します。

こどもの症状の伝え方

こどもが病院を受診する場合、症状を正確に伝えることが大事です。症状の伝え漏れがないよう、メモ書きをし、メモを持参するようにしましょう。メモ書きには「いつからどのような症状があるのか」「主な症状の他に気になることはないか」「兄弟や家族で同じような症状が出ている方はいないか」といった内容を記載しておくと良いでしょう。

またかかりつけ医以外を受診する場合は、持病や大きな病気の経歴、薬のアレルギーなどの情報も必要になります。持病や薬のアレルギーなどは、母子手帳などに記載をしておき、いつでも伝えられる状態にしておきましょう。

かかりつけ医以外を受診する場合

いつも受診している病院以外で診察をする場合は、持病や大きな病気の経歴などの既往歴や、薬の副作用やアレルギー、交通事故歴や外傷などの情報も必要になります。持病や薬のアレルギーなどは、母子手帳などに記載をしておき、いつでも伝えられる状態にしておきましょう。

持ち物

病院を受診する際に必要な持ち物をご紹介します。
こどもが病院を受診する上で、絶対に必要なものが下記の4つです。

・健康保険証
・乳幼児等医療費受給者証
・母子手帳
・お薬手帳

その他にも

・着替え
・タオル
・ポケットティッシュ
・マスク

乳幼児の場合は、「オムツ、おしりふき」を忘れずに。

また体に湿疹が出たときや便の状態がいつもと違う場合は、写真に撮り、受診時に医師に見せられるようにしておきましょう。熱が上がる時に寒気がするので、羽織ものなども持っておくと良いです。

病院内に入る前にマスクをつける

咳やくしゃみ、発熱といった症状のあるこどもには、できるだけマスクをつけさせましょう。病院内に入る前に、マスクをつけるのが望ましいです。また発熱などにより免疫力が落ちているときは、感染症にかかりやすいため、その対策としてマスクをつけることも大切です。もしこどもが感染症の病気だった場合に、他のこどもや保護者の方に移してしまうという意識を持ちましょう。

小児科には、感染症のこどもが多くいます。対策として、保護者の方もマスクをつけましょう。夏場でも、手足口病やプール熱といった飛沫による感染症があるため、マスクは必要です。

こどもが病院を受診する目安を把握しよう

こどもの体調が夜間急変したら、病院を受診するべきか悩むところ。自分で判断するのが難しい時は、こどもの医療電話相談などで、相談をしてみましょう。また病院で診察を受けるときは、症状の伝え方が大切です。いつからどのような症状なのか詳しく伝え、救急の場合は、既往歴なども伝えるようにしましょう。

※本記事は公開時点の医師の見解によるものです。最新の情報とは異なる場合があります。​

監修:赤坂一ツ木通りクリニック 大橋成孝先生

専門とする科目:循環器内科
資格:医師免許、循環器専門医
プロフィール:
慶應義塾大学医学部を卒業後、呼吸循環器内科教室入局。伊勢原協同病院、国際医療福祉大学三田病院で准教授として勤務し、令和元年より赤坂一ツ木通りクリニックで院長として勤務しています。

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