これって花粉症…?!花粉症の症状と対策を医師が詳しく解説します。

これって花粉症…?!花粉症の症状と対策を医師が詳しく解説します。

「今年から花粉症になってしまった…」「もしかしたら花粉症かもしれない…」など今まで花粉症ではなかった人がこんなことを言っているのを耳にしたことはありませんか?花粉症とはどんな症状があるもので、どのような検査をしたら花粉症と断定されるのか。花粉の季節真っ只中に非・花粉症の方が抱く疑問に耳鼻咽喉科の専門医が答えます。

今回お話をしてくださったのは…

タマケアLab.編集部が伺ったのは、東京都西多摩郡、JR八高線の箱根ヶ崎駅から徒歩3分のところにある「高水医院」。地域住民のかかりつけ医として約70年に渡り、小さなお子さんからお年寄りまで、幅広い年齢層の患者さんが訪れています。

お話を聞いたのは、この「高水医院」で耳鼻咽喉科の診療を担当されている篠田陽子先生。多くの方が悩まされている、あるいは不安に感じている花粉症について色々と質問してみました。

篠田陽子先生
昭和大学医学部大学院卒業。昭和大学藤が丘病院などで勤務した後、高水医院に勤務。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医。

花粉症の原因は?

花粉症を発症する原因について教えてください!

私たちの身体は、細菌、ウイルス、ダニ、花粉などが入ってくると異物と認識して排除するための抗体を作ります。これが「免疫」です。免疫機能は身体を守ってくれるものですが過剰に働くと自身の細胞も攻撃してしまい「アレルギー」反応を起こし、さまざまな症状が出ます。
アレルギー物質(アレルゲン)に対する抗体をIgE抗体と言います。このIgE抗体は花粉に接触するたびにつくられるため少しずつ体内に蓄積されていき、蓄積量があるレベルに達するとアレルギー反応を起こし、花粉症の症状に悩まされるのです。

花粉症の原因としてスギやヒノキの花粉がよく知られていますが、その他の種類もあるのでしょうか。花粉の種類によってアレルギー症状を起こす時期は異なりますか。

スギやヒノキは全国的に飛散している花粉ですが、イネ科やハンノキ属(カバノキ科)も全国的に飛散しています。北海道や東北などの寒冷地域ではシラカンバによる花粉もあります。
時期としては、スギやヒノキは春に多く飛散します。ヒノキの方はゴールデンウィーク明けまで症状が続くこともあります。ブタクサ属(キク科)やヨモギ属(キク科)など、秋に多く飛散する花粉もあります。

出典: 来年のスギ花粉,飛散が多い地域は?|医療ニュース|Medical Tribune

同じ場所に住んでいても花粉症になる人とならない人がいるのは何故でしょうか。

その方がアレルギー体質か否かの問題だと思います。また、室外に長い時間いる人と室内に長い時間いる人では花粉の摂取量も異なってきますよね。睡眠をしっかりとれているか、手洗い、うがいをこまめにしているか、栄養バランスのいい食事をしているかなど、生活習慣の違いでも差は出てきます。

まずは、しっかりと検査しましょう!

熱っぽくなったり、肌が痒くなったりと、花粉症の症状って人によって内容が違いますよね。

多いのは鼻水、鼻詰まり、クシャミですが、目の痒み、喉の腫れを訴える人もいます。肌が荒れたり痒くなったりする方もいます。頭痛や発熱のため風邪だと思って受診したら、花粉症と分かった場合もありますから、症状が出たらなるべく早く病院で受診した方がいいですね。

花粉症だと考えられる患者さんに対してはどのような診察をするのでしょうか。

鼻の中を診ればアレルギー性鼻炎なのかどうかある程度分かります。アレルギー性鼻炎の方の鼻の粘膜は全体的に腫れがあり、蒼白に見えるなど独特の所見があるからです。風邪でも鼻の粘膜が腫れる所見は見られますが、それほど蒼白にはならず赤味が強いなど急性鼻炎の所見が強いですね。花粉症で鼻が詰まるのは鼻水で詰まっているだけではなく、鼻の粘膜が腫れているためなのです。でも見た目だけで診断は出来ませんので、しっかりと検査することをお勧めします。

花粉症の検査にはどのようなものがあるのでしょうか。検査費用はどれくらいですか。

花粉症なのか風邪なのか問診では診断できないので、綿棒で鼻水を採取し顕微鏡で見る鼻汁好酸球(びじゅうこうさんきゅう)検査を行います。アレルギー性鼻炎の方は、この検査で好酸球が陽性となります。検査費用は3割負担で400円ほどです(初診料、処方箋料別)。しかし、鼻汁好酸球検査では、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンの種類までは特定できませんし、陰性(マイナス)の結果でもアレルギーが絶対に無いとは断定できません。

「血清特異的IgE抗体検査」の紹介リーフレット。検査を受けてみたい方は医師に相談を

出典: 資料元:サーモフィッシャーダイアグノスティックス株式会社

もっと詳しく知りたい方には血清特異的IgE抗体検査という採血検査を行います。これは血液採取によって血液中のIgE抗体がどのアレルゲンにどの程度反応するかを39項目にわたって調べられる検査です。検査費用は3割負担で5,000円ほどです(初診料、処方箋料別)。鼻汁好酸球検査と血清特異的IgE抗体検査の両方を組み合わせて、アレルギー性鼻炎の診断が出来ます。より確実な結果が分かると思います。
また、当院では行なっておりませんが、プリックテストと呼ばれる皮膚テストを行うこともあります。アレルギーの原因と疑われるアレルゲンを皮膚につけて専用の針で軽く刺激し、その後の皮膚の反応をみる検査です。この検査で皮膚の反応が強く出たアレルゲンは、原因である可能性が高くなります。

花粉症にならないためにできることは?

今は症状が出ていなくても、「これから、来年花粉症になってしまうかも」と心配している人も多いと思いますが、予防はできるのでしょうか。

外出時はマスクをしたり、室内ではこまめに掃除機をかけてアレルゲンの減量を心掛けましょう。花粉を回避することが大切なので、洗濯物を外干しした後は花粉をよく叩き落としてください。飛散の多い時期には専用の洗剤を使用して室内干しするのも効果があります。乾燥機や浴室乾燥機などを使うのもいいでしょう。

食生活や日常生活で気を付けるべきことはありますか。

IgE抗体の産生を抑えるには乳酸菌が効果的だと言われているので、ヨーグルトなどを食事に採り入れるのもありですね。十分な睡眠を取り、ストレスの無い生活を送ることも大切です。でも花粉の飛散が多い時期に生活習慣の改善だけで花粉症を防ぐのは難しいかもしれません。

花粉症だな、そう思って自分で市販薬を飲む人もいるのですがこれは適切な対処法なのでしょうか?

花粉によるアレルギーなのか、風邪の症状なのか。あるいはその他の症状なのか、原因をはっきりさせてから治療し、お薬を飲むべきなので、まずは受診することをお勧めします。

受診して花粉症のような症状の原因を特定してから対処法を決めるということですね。

診察や検診で原因が特定できたら、医師はガイドラインに沿って処方する薬の量や組み合わせを決めます。花粉症の場合、スギ花粉でもハウスダストでも処方する薬は同じになります。

一人で悩まないで、まずはお医者さんへ!

花粉症にならないためには花粉との接触をできるだけ避けて、洗濯物の干し方に注意すること。そして当たり前ですが、しっかりとした食事と十分な睡眠を心がけましょう。
もしも、花粉症かな?と思ったら、一人で悩まないで早めにお医者さんへ行って検査を受けましょう。あなたの症状に適した薬を処方してくれます。

篠田先生、ありがとうございました!

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