あなたも「隠れ冷え症」かも?毎年多くの人が悩まされる冷え症について、改善法と気をつけるポイントを医師にインタビュー

あなたも「隠れ冷え症」かも?毎年多くの人が悩まされる冷え症について、改善法と気をつけるポイントを医師にインタビュー

2021.01.18

冬になると毎年多くの人々が悩まされるのが冷え症。冷え性は単に「冷えやすい体質」というだけでなく、実はさまざまな体のトラブルを引き起こす症状です。目に見えて健康を害するわけではないため、放置してしまいがちな冷え症について、今回はその症状と改善・予防策を医師にインタビューしました!

今回お話をしてくださったのは…

タマケアLab.編集部が伺ったのは、渋谷駅から徒歩5分、セルリアンタワー東急ホテルのすぐ近くにある「大平医院」。

内科を主軸に、かかりつけ医として健康長寿を第一に考え、日々の暮らしに寄り添った医療を提供することをモットーにした診察・治療が特長のクリニックです。漢方外来にも対応し、金曜日と土曜日は女性の専門医も在院しています。

お話を聞いたのは副院長の田邉真帆先生。内科診療はもちろん、東洋医学、漢方薬に関しても幅広い見識を持ち、患者さんの症状やライフスタイルに合わせた診療を行ってくれます

田邉真帆 先生
順天堂大学医学部卒業。家庭医療専門医、総合内科専門医、人間ドック専門医指導医、日本骨粗鬆症医学会認定医、認知症サポート医、介護支援専門員(ケアマネージャー)、日本医師会認定産業医。日本東洋医学会、日本抗加齢医学会に所属。

冷え「性」と冷え「症」の違いは

冷え「性」、冷え「症」という2つの表現がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

症状は同じですが、西洋医学と東洋医学の考え方の違いです。西洋医学では患者さんが冷えを訴えても、検査などではっきりした原因が見つからなければ、冷え「性」、あるいは冷え「体質」と考え、治療しなくても良いと判断します。それゆえ、西洋薬には冷えを治療する薬がないのです。

それに対して東洋医学では、冷えを治療が必要な症状、つまり冷え「症」としてとらえます。東洋医学では、冷えは万病の元で体からの警告であり、未病の段階で冷え症を治療すれば大きな病気を防げると考えます。東洋医学に、冷えにアプローチする治療薬として漢方があるのは、そういった理由からです。

冷え症の原因は?どんな症状が出るの?

では、ここからは東洋医学でいう「冷え症」についてうかがいます。そもそも、なぜ冷え症になってしまうのでしょうか。

体に必要なエネルギーが不足する「気虚(ききょ)」、血液の流れが滞ってしまう「瘀血(おけつ)」、そして胃腸虚弱、消化管に異常な水分が停滞することによる生じる「水毒(すいどく)」。東洋医学ではこの3つが冷え症の原因だと考えられています。

体が冷える、手足が冷たいといったほか、「気虚」による体の怠さ、痛み、「瘀血」による肩の凝り、「水毒」によるお腹の不調などが主な症状です。あるいは太りやすい、疲れやすい、睡眠障害なども、冷え症によって引き起こされる症状の1つと考えられます。ですから、「たかが冷え」と軽く見ないことが大切です。

「気虚」「水毒」はイメージしやすいのですが、「瘀血」で血液の流れが悪くなると体が冷えてしまうのは何故ですか。

血液には体内で生成された熱を体の隅々まで行き渡らせるという重要な役割があります。そのため血液の循環や流れが悪くなると、当然血の通わない場所は冷たくなるのです。

血液の流れが悪くなる原因の1つとしては、交感神経のバランスの崩れが考えられます。緊張すると汗をかきやすくなったり、手足が冷えたり、あるいはトイレが近くなるのも、交感神経のバランスが崩れ、血の巡りが悪くなることに起因しているのです。

朝食をしっかり摂ることが冷え予防の第一歩

普段の生活の中で体を冷やさないために注意することはありますか。

現代ではライフスタイルの多様化によって朝食を食べない方も多いと思います。ですが、体に必要なエネルギーが不足する「気虚(ききょ)」を防ぐためにも、やはり、しっかりと3食摂ることが大切です。

なぜなら食事でエネルギーを摂ることで、全体の栄養素の約10%が代謝熱となり体を温めてくれるからです。食後、体が温かくなるのはこのためですね。

特にタンパク質は体温の上昇効果があると言われているので肉・魚・大豆製品などタンパク質の多い食品をバランス良く摂るようにしてください。

また、食事による誘発性の熱産生は朝食が1番高いと言われているので、朝食を摂らないと体温が上がりづらく、1日中体温が低いままとなってしまうこともあります。

食事以外では、基本的に体が冷えるようなことをしないという心がけが大切です。例えば、冬に素足で外出したり、冷たいものをたくさん摂る、シャワー浴のみ、昼夜逆転、運動不足、1日中暖房のきいた部屋にいるといった行為には注意が必要です。また、パソコンやスマホの画面を長時間同じ姿勢で見ていると、その間は体を動かさないので体温の上昇しづらく冷えにつながることもあります。

こんな症状を感じたら要注意

自覚症状が無くても、初期の冷え症かどうか自分で確認する方法はありますか。

お風呂に入っても身体が温まらない、布団に入ってしばらくしても冷体が温まりにくいという方は冷え症を疑ってください。

また、寝起きで布団に入っている状態で脇の下に手を当てて、自分の体温を確かめてみてください。次にお腹や二の腕、太腿を順番に触り、先ほどの脇の下の体温に比べて冷えていないかチェックしましょう。もし冷たいと感じれば、その部位は要注意です。脇よりも冷たいと感じた部位に冷えの症状が表れているかもしれません。

先生のご経験では、冷え性の方にはどのような自覚症状が多かったでしょうか?手軽にチェックするための項目を教えてください。

血流が悪くなったり、交感神経のバランスが崩れたりすることによって、冷え症が引き起こす症状には一般的に以下のようなものがあります。

・手足が冷えやすい
・トイレが近い、すぐ下痢をする
・月経痛がひどい 
・目の下に隈ができやすい 
・イライラしたり落ち込みやすい
・寒い季節になると寝付きが悪くなる

もしこの中で1つでも自覚症状があれば、冷え症を疑っていいと思います。

60年前と比較して平均の平熱は約1℃低下したと言われています。生活習慣が変化したためです。そのことにより現代人の免疫力が30%も低下したという報告があります。例えばガン細胞は35℃台で最も増殖しやすいと考えられており、そのことから考えても、免疫を上げるためには体温を上げることが大切なのです。体温が1℃上昇することで代謝が13%増加するとも言われていますので、結果として太りにくくもなります。

冷え症は先天的なものですか、それとも後天的なものですか?

自律神経の乱れによる冷え症は、生活習慣が引き起こした後天的なものだと考えられます。ですが、遺伝的、体質的に筋肉や脂肪がつきづらいがために体が冷える場合は、先天的な冷え症だと言えるでしょう。

冷えがあらわれるメカニズムは?

冷え症には四肢、下半身のみ、内臓、全身といったように、症状が出る部位がいくつかありますよね。これはどういうメカニズムで起こるのでしょうか?

体に熱量が足りないとき、人間は心臓や脳など生命維持にもっとも重要な臓器に血液を集めようとします。手足へ血液を送るのは優先順位的には最後になるため、指先にある細い毛細血管から冷えの症状は表れ、下半身、内臓、全身と症状が出てくるのです。

首、手首、足首の「3つの首」を温めましょう。首や足首は皮下脂肪が少なく、皮膚のすぐ下を動脈が通っているので、外から温めると効率よく冷えが改善されます。マフラーやレッグウォーマーなどをするのはそのためです。また、下半身に冷えを感じる人は腹巻きやカイロなどを使うのも効果的だと思います。

冷え症を改善したい!日常的にできる対策はこれ

全身が冷える人はどう対処すれば良いのでしょうか。

■内側から温める

①食事の見直し
しっかり3食を摂ることで自律神経のバランスが整います。たんぱく質は筋肉のもととなるため、熱を生み出しやすい体質になります。毎食の食事にたんぱく質を取り入れましょう。

体を冷やすトマト、きゅうりなどの夏野菜、生野菜、果物を避け、ジャガイモ、レンコン、にんじんなどの根菜類、ネギ、生姜など体を温める野菜をたくさん食べてください。糖質やカフェインは体を冷やすと言われていますので、気を付けましょう。

②適度な運動を
ストレッチやラジオ体操で体をほぐし、スクワットなどの筋力トレーニングを行うのが理想です。会話をするのに息切れするくらいの早歩きや、プールでの歩行もおすすめです。エレベーターを控えて階段を使いましょう。

③ストレスを溜めない
休息を取るように。ヨガやアロマ、音楽を聞くなど、リラックスする時間を作りましょう。腹式呼吸、瞑想が自律神経を整えます。

④規則正しい生活リズムを作る
「早寝、早起き、朝ご飯」を意識してください。寝る前の飲食、長時間のスマホ、寝過ぎ、夜更かしは冷えにつながります。

■外側から温める

①ゆっくり湯船に浸かる
40℃前後のお湯に15分程度ゆっくり浸かります。筋肉のこりがとれて全身の血流がよくなります。上がるときにぬるめのお湯を足先にかけると熱が逃げにくいです。また、熱めのお湯とぬるめのお湯を交互に体にかけると自律神経が鍛えられます。

②足湯
足を温めると熱が体の隅々まで行き渡り、血行や内臓の調子がよくなります。寝る前に足湯をすると寝つきが良くなります。

③温めグッズを利用する
内臓を温める腹巻、3つの首を温めるアイテム、カイロや湯たんぽも良いです。締め付ける服装、きついジーンズやストッキング、きつめの靴は血流低下を招きます。温めることにより交感神経の緊張が緩み、体の血流が増えて温かくなります。

冷え症は重病の原因にもなる怖い病気

冷え症を放置すると悪化することはありますか?

手足が強張る、痺れるなど日常生活に支障を感じる症状が表れたら深刻な冷え症だと考えてください。

例えば下半身が冷えるとトイレが近くなり、悪化すれば膀胱炎や腰痛の原因にもなります。また、足先が冷えれば血流が悪くなり、怪我も治りづらくなります。さらに冷えが全身に回ると免疫力が下がり、癌になる可能性も高くなります。女性は生理不順にも繋がり無排卵、不妊症も心配されます。記憶力も低下するので認知症に関与しているとも言われているんです。

冷えがどうしてもひどい場合、病院に行くべきなのでしょうか?

ぜひ来院していただきたいと思います。冷えの裏に重篤な病気が隠れている場合もありますので、必要に応じてまずは検査をしましょう。特に病気が見つからなければ漢方治療が適しています。漢方薬を処方してくれる病院でもいいですし、冷え症は医者に話すことで気が楽になる部分もありますから、よく話を聞いてくれる神経内科の先生、女性外来をやっている病院などでもいいでしょう。

冷え症は女性に多い印象ですが、何か因果関係はあるのでしょうか。

男性に比べて筋肉が少なく熱量が低く、心臓や脳に熱量をまわすために血流が手足の先に行き届かないので、冷えやすくなるということは言えると思います。また、頭痛や生理痛を和らげる鎮痛薬の使い過ぎは、体温を下げ、冷えの要因となります。無理なダイエットで起こるホルモンバランスの乱れも原因となります。

女性の8割が冷え症を感じているのに対し、男性は4割ほどだと言われていますが、当医院の患者さんには筋肉の衰えなどから冷え症に悩まされている高齢の男性もいますよ。近年は冷え症に悩む子供も増えました。朝食を食べない、外遊びよりもゲームなどのを好み屋内にこもりがち、長時間のスマホ、ストレス過剰、夜更かしする、湯船につからないなどの生活習慣が原因だと考えられます。

また、思春期のうちから冷えに注意すると、頭痛、腹痛、睡眠障害などから解放され、更年期の症状も軽くなると言われています。
一方、更年期以降の方で下半身だけが冷えるという方も多いですね。東洋医学では、更年期になると下半身が弱くなってくる「腎虚(じんきょ)」という考え方があり、下半身の衰えから足のしびれ、腰膝の痛み、頻尿などさまざまな症状が出てくると考えられています。

冷えを防いで快適な冬を過ごそう

冷え症の方は体を冷やさないことが大切というイメージがありますが、日常的にできる手軽な対策はありますか?

ふくらはぎは第二の心臓と言われ、鍛えると全身の血流が良くなりますから、ヒラメ筋を鍛えて代謝を上げるようにしましょう。トイレに行くたびに10回かかとの上下運動を行う、TVのコマーシャルのたびにスクワットをする、食後30分から1時間したら階段の昇降するなど、ルーティンにすると続けやすいです。3食をしっかり摂り、夜はお風呂で温まり、パジャマに着替え、消灯することで、就寝モードに移行し、24時までには寝るよう心がけてください。

冷え症に悩んでいても医者を受診する人は意外と少ないですよね。でも冷え症は未病のサイン、放っておくと重い病気に引き起こす可能性もあります。予防のためには食事も含めた生活習慣を見直して血流を良くすることが大切です。もし、冷え症が長く治らないようなら医者に漢方薬を処方してもらうのも対策の1つです。田邊先生、ありがとうございました。

大平医院

東京都渋谷区桜丘町23-17 シティコート桜丘1F

渋谷駅徒歩5分。セルリアンタワー東急ホテルのすぐ裏手です。

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