コロナ禍で風邪症状が発生した際の対処法とは?正しい相談・受診フローやコロナ感染診断前後の自宅療養の仕方を医師にインタビュー

コロナ禍で風邪症状が発生した際の対処法とは?正しい相談・受診フローやコロナ感染診断前後の自宅療養の仕方を医師にインタビュー

2019年12月に中国で感染が発生してから、またたく間に全世界に広がった新型コロナウイルス。どんなに気をつけていても、自分や家族が感染するリスクは完全に無くならないのが現状です。そんな中、咳や熱などの症状が出てしまった場合、どうしたら良いのでしょうか。今回は、コロナ禍で風邪症状が出たときの対処法や自宅療養について医師に伺いました。

今回お話をしてくださったのは…

タマケアLab.編集部が伺ったのは、自由が丘駅から徒歩5分の距離にある「Alohaさおり 自由が丘クリニック」。院内はハワイの海や空を連想させる、素敵なインテリアが特長です。

今回お話を伺った藤堂紗織院長は、地域のホームドクターとして「なんでも相談できる、だれでも受診できる」クリニックを目指していらっしゃるとのこと。院内のアットホームな雰囲気と先生の優しいお人柄が、患者さんの不安な気持ちをほぐしてくれるような、素敵なクリニックでした。

藤堂紗織 先生
日本医科大学卒業後、日本医科大学附属武蔵小杉病院、善仁会丸子クリニックを経て「Alohaさおり 自由が丘クリニック」を開業。日本内科学会認定内科医、日本透析医学会、日本腎臓学会、点滴療法研究会、日本美容皮膚科学会などに所属している。

厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染が疑われる症状がある方に向けて、相談・受診の目安となる条件を下記のように示しています。

①強いだるさ(倦怠感)がある場合
②高熱がある場合
③比較的軽い風邪の症状が続く場合
(最新情報は厚生労働省ホームページを参照してください。)

それぞれの条件について、藤堂先生に詳しく解説していただきました。

どれくらい体調が悪ければ病院に行くべき?相談・受診の目安とは

「強いだるさ(倦怠感)」とは、どの程度の症状だと考えれば良いでしょうか?

食事を取るのが辛い、お腹が空かない、トイレに行くのが億劫など、ご自身の生活の中でいつもなら普通にできることが何故かできないと感じたら、「倦怠感がある」と考えて良いです。身体が重く感じるなどもそうですね。

「比較的軽い風邪の症状」とは具体的にどのような症状でしょうか?

頭や喉が痛くなる咽頭炎、食欲の低下や下痢になる胃腸炎などは軽い風邪の症状といえます。

当クリニックでコロナ感染が疑われるのは、体温が平熱より1度前後高い、しばらく咳が続く、頭痛がする、味覚・嗅覚障害があるといった症状の方が多いです。

ちなみに、体温を計ったとき、微熱か高熱かはどのように判断すれば良いのでしょうか?

平熱にプラス1度なら微熱で、38度を超えると高熱と考えていいと思います。

ただし、体温は状況によって異なる上、個人差があることにも注意が必要です。たとえば、体温を計る時間が朝か夜か、女性であれば生理中かどうか。他にも病院へ行くまでの歩行移動や、そのときの服装などで体温が0.5度前後上がることは少なくありません。ですので、数字だけでなく体温を計ったときの状況を加味して判断することが大切です。

家でリラックスしている状態なのにもかかわらず、熱が平熱よりも高ければ「発熱している」と判断していいでしょう。

なるほど!ただ、自分の平熱を正しく知る方法って実は意外と知らない人が多いのではないでしょうか。

2〜3日連続で同じ時間帯に体温を計り、その平均を取ることでおおよその自分の平熱が分かりますよ!朝起きて10分ほど経つと体も落ち着くので、その時間帯に計るのがおすすめです。

なお、なるべく正確な平熱を知るためには、毎回同じ場所に体温計を当てることが大切です。
その際、汗をしっかり拭いてから、体温を計ってくださいね。汗をかいたままだと正しく体温を計れない可能性があるので。

風邪?それとも、コロナ?判断に迷ったらまずは電話で相談

※2020年10月、厚生労働省は新型コロナウイルスの入院対象者を絞り込むことを発表。コロナに限らず、インフルエンザなどのウイルス性の風邪が流行する冬を迎えるにあたって、より免疫力が低い高齢者を優先的に治療するためです。同時にこれまでとは違い、コロナの疑いがある場合はまずかかりつけ医や近隣の診療所に相談することが推奨されました。

コロナに感染してしまったかもしれないと感じた場合、まずはどこに相談すれば良いでしょうか?

こういう状況下ですので、コロナ陽性を疑われている方はいきなり病院を受診するのではなく、まずはご自身のかかりつけ医(※)に連絡してみてください。

ここが一番大切なのですが、かかりつけ医を受診する際は、いきなり訪問するのではなく、まず電話で状況を説明するのがベストです。そうすることで、他の患者さんとの接触を避けて問診・検査を案内するなど、病院側も適切な準備ができます。なお、相談先は内科がよいでしょう。

ちなみに、当クリニックに来院いただいた場合は、問診のあとに採血やレントゲン検査を行います。その結果コロナ陽性が少しでも疑われる方、あるいはPCR検査を受けないと出勤ができない方などには、当クリニックからPCR検査を行っている病院に直接連絡し、予約票を持ってそちらで検査していただいています。

※健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門の医療機関を紹介してくれる身近にいて頼りになる医師のこと。

なんだかだるい、いつもより少し体温が高く感じるなど、受診に値するくらいの症状なのか判断に迷う場合でも、かかりつけ医に相談して良いのでしょうか?

もちろんです!当院でも「風邪だと思いますが…」と前置きして相談いただくことも多いですよ。皆さん、自分では判断ができなくて不安だからこそ医者に来ていただくわけですからね。ただ、先ほどもお話ししたように、まずはお電話で状況を説明していただければありがたいです。

もし、かかりつけ医が診断に応じることができなくても、他の医療機関を紹介してくれることがほとんどです。

「万が一」の事態を避ける、受診前後の自宅療養の方法とは

実際に厚生労働省が出すコロナの症状の目安に当てはまる場合、医療機関を受診するまでの間はどのように過ごせばいいでしょうか。

コロナの感染が疑われる場合は、出来る限り接触する人を減らし、行動範囲を狭めると良いでしょう。結果的にそれがコロナではなく風邪やインフルエンザであったとしても、人に感染させてしまう可能性があるのは同じことですからね。

もちろんその方の状況によって難しいケースもあると思うのですが、学校の先生や上司の方と相談をしたうえで、可能な限り通学・通勤は避けるのが理想です。

一方で、自宅にいる時は、極力お子さんや高齢者の方にはなるべく近づかないようにすることを推奨しています。

もう自分はコロナに感染しているという前提で行動すべきなのですね。ちなみに自宅療養中の家庭内感染を防ぐために他にすべきことはありますか?

ダイニングテーブルなど飲食をする場所や、ドアノブ、トイレの便座など、菌の発生しやすい場所は殺菌消毒すると良いと思いますよ!また、自宅療養する部屋を決めたら、看病をする人も決めて、複数の人がその部屋に入らないようにするなどのルールを決めるのが良いでしょう。

ちなみに、実際にコロナ陽性と診断された場合、病院や指定の宿泊施設に隔離されることになるのでしょうか?

PCR検査で陽性が確認されて入院した場合、以前は2週間の隔離期間が一般的でした。しかし、最近では症状がある程度落ち着いたら、陰性が確認される前に退院・自宅療養という流れが増えています。その場合、微熱や咳などの症状が続いていても、かかりつけ医で薬を処方してもらいながら対処していくことが多いようです。

ただし、自宅療養中に症状が悪化すれば、再び入院するケースもありますね。

社会復帰に必要なのは、冷静な判断と周囲の温かい支援

コロナ陽性になった場合、症状がおさまったらすぐに普段通りの生活に戻れるのでしょうか?

自宅療養含む2週間の隔離期間を1つの目安として考え、体調がある程度戻ったら社会復帰する方が多いようです。

ただし、人によっては完全に症状がおさまるのに1ヶ月、あるいはそれ以上かかる場合もあるんですよ。退院してもだるさが抜けず、咳が続く人もいます。一番多いのは、ウイルスに対する抗体はできているけれど、後遺症として味覚障害が残るケースですね。

また、回復したと思っても症状がぶり返すことがあり、それがコロナ陽性の症状が残っているからなのか、あるいは再び感染したからなのかは判断し辛い場合もあります。

このように人によって回復の速度や後遺症の度合いがまちまちなので、かかりつけ医や会社・学校と相談しながら普段の生活に戻るタイミングを決めるのが一般的です。

新型コロナウイルス感染者が治癒して社会復帰した際、周囲の人はどのように対応するべきだとお考えですか。

温かい気持ちで迎え入れていただきたいです。

感染者でなくとも、医療関係者や宅配業者の方、そしてそのお子さんが心無い言葉をかけられたり、必要以上に距離を取られたりして、肩身の狭い思いをしていると聞きます。実際に私の知人や患者様からそのような話を聞くと、心が痛みます。

もちろん目に見えないものなので恐怖はあって当たり前だと思います。ただ、出来る限り冷静に対応し、思いやりを持って接していただけたらと願うばかりです。

無理ない範囲で慎重に。お互いが安心して過ごせる心配りを

発熱や咳、味覚障害など体調不良になったときに大事なのは、自分がコロナに感染しているという前提で行動することです。そして受診する前にはまず電話で相談してください。

コロナ禍はまだ終息の見通しが立っていません。自分が感染していなくても、お互いが安心して気持ちよく過ごせるような心配りが大切です。
藤堂先生、今回は貴重なお話をありがとうございました。

※コロナウイルス感染時の症状や治癒の速度、後遺症には個人差があります。専門機関やかかりつけ医など専門家の指示に従って冷静に行動してください。

Alohaさおり 自由が丘クリニック

東京都目黒区緑が丘2-24-15コリーヌ自由が丘EST 3F

自由が丘駅北口から徒歩5分

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