【医師監修】マスクがニキビや肌荒れの原因に?

【医師監修】マスクがニキビや肌荒れの原因に?

マスクは肌荒れやニキビの原因になるといわれることがありますが、その噂は本当なのでしょうか。肌荒れの時期にマスクはつけられないと思っている人もいるようです。なぜそのように言われているのか、マスクが肌荒れやニキビの原因と言われる理由を探っていきます。さらにマスクを着用することで起こるいいこと・悪いこと、肌にやさしいおすすめのマスクなどを詳しく紹介していきます。

マスクは肌荒れ・ニキビの原因になるの?

「マスクをすると肌荒れやニキビの原因になる」といわれることがありますが、それは本当なのでしょうか。

マスクは肌荒れ・ニキビの直接の原因ではない

マスクは肌荒れやニキビの直接の原因ではありません。肌荒れは、乾燥や紫外線など様々な要因による、肌のバリア機能低下が原因で起こります。また、ニキビは毛穴に詰まった皮脂や汚れがきっかけとなって発生します。
 
ニキビは、思春期にできる「思春期ニキビ」と20代以降にできる「大人ニキビ」の2つに分けられますが、原因もそれぞれ異なります。

思春期ニキビの原因は、ホルモンバランスの変化によって皮脂が過剰に分泌され、毛穴に詰まることだと考えられています。そのため思春期ニキビの多くは、20代以降になってホルモンバランスが安定してくると自然に治まります。

一方、大人ニキビは、ターンオーバーの乱れによって古くなった角質が溜まり、毛穴が詰まることが原因だと考えられています。加えて大人ニキビもホルモンバランスの影響を受けるため、月経前後、ストレスや睡眠不足、暴飲暴食などの生活習慣の乱れなどでホルモンバランスが崩れると大人ニキビが増加する原因となります。

また、思春期ニキビと大人ニキビではできやすい場所も異なります。思春期ニキビが鼻やおでこなど皮脂量の多い場所にできるのに対し、20代以降の「大人ニキビ」は、フェイスラインや口周り、あごといった比較的皮脂量が少ない場所にできやすいといわれています。同じところにくり返しできるのも大人ニキビの特徴です。

思春期ニキビも大人ニキビも、できやすいのはマスクをつけたときに覆われる部分。マスク自体がニキビの原因になるというよりも、「ニキビのできやすい場所とマスクで覆われる場所が一致している」のです。

マスクがニキビや肌荒れを悪化させる?

できてしまったニキビや肌荒れを隠すためにマスクをつけている人もいるでしょう。しかし、ニキビのできている部分をマスクで覆ってしまうと、ニキビを悪化させる場合があります。マスク内にこもる呼気により、蒸れて細菌が繁殖しやすい環境となるためです。

また肌のバリア機能が弱くなっている時にマスクをすると、マスクが肌に当たったり、擦れたりする刺激によって肌荒れやニキビを引き起こす可能性もあります。マスクが肌荒れの直接的な原因なのではなく、環境やお肌の状態によるところが大きいため、肌への負担を少しでも軽減できるような対策をとることが大切です。

後半でマスクの正しい選び方や、肌荒れしにくい方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ニキビができてしまったら?

ニキビができてしまったときはケアすることが大切です。ニキビをつぶしてしまうと跡に残りやすいため避けましょう。ここでは、ニキビケアのポイントをご紹介します。

ニキビを悪化させないために・・・清潔を心がけて

できてしまったニキビを悪化させないためには、ニキビの部分を清潔に保つことが大切です。

まず、帰宅後はなるべく早くメイクを落とし、洗顔しましょう。メイクで毛穴をふさいだ状態や、メイクの汚れが残った状態をそのままにしておくと、ニキビが悪化する可能性があります。メイクを落とすときに、メイク落としでゴシゴシとこするのは肌への刺激になってしまうため避けましょう。手の平を使って優しくメイク落としを馴染ませたら、水またはぬるま湯で洗い流します。特に、髪の生え際などは流し残しのないように注意しましょう。

洗顔はしっかりと泡立てた泡で優しく洗いましょう。泡で肌を撫でるようなイメージで、こすらないように洗うのがポイント。ただし、洗いすぎは皮膚に必要な油分まで落としてしまい、肌の乾燥につながります。1日に何度も洗顔したり、洗浄力の強すぎる洗顔料を使ったりするのは避けましょう。

ニキビができた部分に触るのも、ニキビを悪化させてしまう原因になるため注意が必要です。ニキビに触れること自体も刺激になりますし、手や指についた雑菌が炎症をひどくしてしまう場合もあります。そのほか髪の毛も刺激になる場合があるので、ニキビ部分に当たらないようなヘアスタイルを心がけることがおすすめです。スタイリング剤をつけるときは、ニキビに触れないように気をつけましょう。

膿をともなうニキビや炎症がひどいニキビ、痛みやかゆみがあるニキビの場合は皮膚科を受診することをおすすめします。

ニキビケアには保湿が重要!

ニキビができると、スキンケアは油分を避け、さっぱりしたものを使う方も多いのではないでしょうか。しかし、実はニキビケアには保湿がとても大切です。

特に大人ニキビの場合は、皮膚の乾燥によって肌のバリア機能が低下し、水分が失われやすい状態になっていることも多いもの。

洗顔の後は化粧水だけでなく保湿クリームを重ね、皮膚から水分が蒸発するのを防ぎましょう。

ニキビが気になる肌のスキンケアには、ニキビ肌向けのアイテムがおすすめです。ニキビができにくいことをテストで確認済みの「ノンコメドジェニック表示」のある化粧品を選ぶとよいでしょう。
スキンケアの際は決してこすらず、肌をいたわるようにやさしく行いましょう。

食事や睡眠をはじめとした生活習慣の見直しを

ニキビケアのためには、生活習慣を見直すことも大切です。

体の内側からもニキビをケアするために、食事は1日3食バランスよく摂りましょう。暴飲暴食や間食をできるだけ控え、ビタミンやタンパク質、食物繊維を積極的に摂るといいですね。

また、ニキビケアのためには睡眠も大切。睡眠不足によってホルモンのバランスが乱れると、皮脂の分泌が増えニキビの原因になってしまうことがあります。また、肌は睡眠中に細胞分裂を行うことから、健康な肌のためには十分な睡眠が不可欠です。

マスクにはメリットもたくさん!

マスクをつけるとニキビができる、肌荒れ時にはマスクをつけられない、と思っている方はいませんか。マスク本来の使用用途は風邪やインフルエンザなどの感染対策、花粉対策などですが、そのほかに嬉しい美容効果もあります。ここからはマスクをつけて得られるメリットを紹介していきます。

①ホコリやウイルス飛沫をカット

マスクはホコリやウイルス飛沫などの異物が体内に入るのを防ぐ目的で使用します。アレルギー体質の人にとって、アレルゲンとなるホコリや花粉から身を守るためにマスクは必要不可欠なアイテム。アレルゲンが体内に入ると、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど様々な粘膜のアレルギー症状が現れます。またホコリや花粉が皮膚に付着すると、刺激となってかゆみを引き起こすことも。このような症状を防ぐにはマスクは最適です。

くしゃみや咳で感染する風邪やインフルエンザの感染対策としてもマスクは実力を発揮します。自分のくしゃみや咳に含まれる菌やウイルス飛沫の拡散を軽減するにはマスクが有効であるため、エチケットとしてもマスクは欠かせません。

②紫外線や外気から守ってくれる

マスクは健康的な肌の大敵である紫外線や外気からも肌を守ってくれます。紫外線や外気は肌の水分を奪うため、バリア機能が低下して肌荒れなどの肌トラブルを引き起こします。特に寒い季節は外気も乾燥しているので肌への負担も大きくなります。化粧水やリップクリームで保湿してからマスクをつけることで、外気や紫外線などの外部刺激を軽減することができるでしょう。

また、冬の肌を突き刺すような冷たい風も健康的な肌を保つためには大敵。マスクは冷たい風から肌を守ってくれるので、防寒対策としても優秀なアイテムです。

③肌の乾燥を防いでくれる

乾燥は肌荒れやニキビを引き起こす原因のひとつといわれていますが、マスク内は自分の呼気により湿度が高くなるため、乾燥を軽減できます。

肌の保湿だけでなく、寝ている間に口呼吸してしまう人にもマスクはおすすめです。寝る時にマスクをすると口や喉の乾燥を軽減してくれます。

大切なのはマスクの大きさと素材選び

マスクはさまざまなメリットがありますが、マスク選びを間違えるとデメリットもあります。肌荒れやニキビが悪化するのを防ぐためには、マスクの選び方が大切です。

自分の顔に合ったサイズ

サイズが合わないマスクは摩擦が起こりやすくなります。肌への摩擦はニキビや肌荒れの刺激になってしまうため、できるだけ自分に合うサイズを選んで着用するようにしましょう。

肌にやさしい素材

肌荒れ時期にはマスクがつけられないと思っている人や敏感肌の人は、肌にやさしい素材や肌触りのいい素材を選ぶのがおすすめです。肌への刺激が少ない素材を使ったマスクを探してみましょう。

衛生的な使いきりタイプ

同じマスクを長時間つけ続けると、マスクの中が蒸れて雑菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。肌環境を悪化させないためには清潔なマスクの使用とこまめな交換が大切。使いきりマスクならいつでも清潔なマスクに交換できるので衛生的です。

肌荒れ・ニキビの悪化を防ぎたい!マスクのつけ方は?

ニキビができていても、マスクをつける必要がある場面もありますよね。ニキビや肌荒れを悪化させないマスクのつけ方をご紹介します。

通気性をよくする

マスクで覆われた部分は自分の呼気で湿度が高くなっています。もともとニキビができやすい部分をマスクで覆っているため、蒸れるとニキビの原因となる菌の繁殖が活発になってしまうのです。すでにニキビができている場合には、悪化させてしまう可能性も高くなります。

不衛生な状態にしないためには、ずっとつけっぱなしにせず、適宜マスクを外し換気するとよいでしょう。
また、マスクは製品によって通気性も異なるため、蒸れにくいマスクを選ぶことも大切です。

こまめに取り換える

マスクを取り替えるのを忘れてしまった、取り替えるのが面倒だからと同じマスクを何日も使っていませんか。一度使ったマスクには雑菌や汚れ、汗などがついているので、同じマスクを使い続けると刺激となり肌荒れを引き起こす原因となります。

使いきりマスクでも「もったいないから」と何度か使う人もいますが、逆にマスクから雑菌などが肌に付着して肌荒れやニキビの原因となっている場合もあります。マスクを使う時は個別包装のマスクを何枚か用意し、こまめに交換するようにしましょう。

肌荒れやニキビ部分に触れない形のマスクを選ぶ

マスクが肌荒れやニキビに直接触れていては、摩擦による刺激が肌荒れ・ニキビを悪化させることになりかねません。
マスクには、口元がゆったりしたタイプや立体型のものなど、さまざまな形があります。肌荒れやニキビの場所に触れないような形のマスクを選ぶと、患部への刺激を抑えられるでしょう。

正しいマスク選びで肌荒れやニキビを防ごう

肌が荒れるからマスクはつけられないと思う人が多いかもしれませんが、風邪の対策、花粉や紫外線から肌を守るほか、マスクには美容的なメリットもあります。マスク自体が肌荒れやニキビの原因となるのではなく、マスクの使い方によっては肌環境を悪化させてしまうデメリットもあるということです。

マスク選びでは自分に合ったサイズや肌にやさしい素材などに注目するとデメリットを軽減できます。マスクには風邪や花粉対策だけでなく、美容効果や防寒対策など様々な使い方ができるので、自分に合ったマスクと正しい使い方で快適な毎日を送りましょう。

監修医師:吉岡容子先生

プロフィール:
医療法人容紘会高梨医院副院長 皮膚科・美容皮膚科医師

東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。
麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院 皮膚科・美容皮膚科を開設。副院長として勤務しています。

麻酔科標榜医、麻酔科認定医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医
日本レーザー医学会会員
日本抗加齢医学会会員
点滴療法研究会マスターズクラブ会員
日本美容皮膚科学会会員

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