コロナ禍における今年の花粉症対策はどうする?適切な対策方法について医師にインタビュー

コロナ禍における今年の花粉症対策はどうする?適切な対策方法について医師にインタビュー

いまだ終息の兆しが見えない新型コロナウイルス。2021年の春は、コロナ禍で迎える花粉の季節です。毎年花粉症に悩まされている方は、この時期、目鼻を触る機会が多くなりますが、 コロナ禍において、日常的に花粉症をケアするにはどのようなことに気をつける必要があるのでしょうか。コロナ禍で正しく花粉症対策をする方法をご紹介します。

今回お話をしてくださったのは…

タマケアLab.編集部が伺ったのは、京王線笹塚駅から徒歩1分の距離にある「ささづか駅前おはな診療所」。

内科、耳鼻科の女性の専門医たちにより開院したアットホームな雰囲気の病院です。平日は夜8時まで、水曜日は夜11時まで診療、土曜診療もありで通いやすく、ネットによる予約受付も行っています。

お話を聞いたのは院長の松尾有希子先生。約10年間院長として耳鼻科の医療機関を運営している経験から、患者が安心して来院でき、スタッフに気軽に相談できる医療機関を目指しています。

松尾有希子先生

聖マリアンナ医科大学卒業。聖マリアンナ医科大学附属病院耳鼻咽喉科学教室で勤務した後、「新小岩すばるクリニック」「三茶おはな耳鼻科」の院長を経て、2019年2月に「ささづか駅前おはな診療所」を開業する。

粘膜はアレルギー物質の侵入を防ぐ最後の砦

花粉症と粘膜は深い関係にあると聞いたのですが、そもそも「粘膜」とは何ですか?

粘膜は花粉を含めたアレルギー物質の侵入を防ぐ組織のことです。

例えば人間の体を1つのお城だとイメージすると、お殿様や姫君が暮らしている本丸(お城の中でも最も重要な一区画)が心臓や脳などの臓器。外敵であるコロナウイルスや花粉などが攻めてくるときに、お堀となって最初に侵入を防ぐのが皮膚。その皮膚を突破した敵を待ち構えている最後の砦が粘膜になります。

花粉症対策の第一歩は自分の体質を知ることから

花粉症に苦しんでいる人はコロナ禍でどのようなことに注意しなければいけませんか?

とにかく、目や鼻、口を不用意に触らないことです。それから、花粉症以外であっても自分がアレルギー体質であることをしっかり意識し、薬などで対処することが大切です。なぜなら、アレルギー体質の人はアレルゲン(アレルギー物質)と接触すると、免疫の土台が崩れやすいからです。

自分がアレルギー体質であるかどうかを知るためにはまずは検査を受けることをおすすめします。子どものころに喘息やアトピー、食物アレルギーに悩まされた方は大人になって症状が出なくなったからといってアレルギー体質が治ったとは限らないため、かかりつけ医にご相談下さい。

まずは自分がアレルギー体質なのかどうかを把握することが大切なんですね。

そうですね。アレルギーの原因を特定できれば、その治療を通じて免疫を付けることができます。今すぐ出来る感染予防として、アレルギー物質に対する免疫を付けることが大切だと思います。

鼻うがいがアレルギー症状の軽減に効果的

手洗い・うがい以外で帰宅時に実践できて、ウイルス感染予防と花粉症悪化予防のどちらにも効果がある対策を教えてください。

鼻うがいですね。鼻と喉は繋がっていますから、鼻うがいで粘膜に付着したアレルギー物質と菌を流し、体内への侵入を抑えることが大切です。現在、鼻うがいはアレルギーの症状軽減と副鼻腔炎(蓄膿)の治療として有効となっており、当院受診の患者さんからも「鼻うがいで症状が楽になった」という声を多数いただいております。小学生以上のお子さんたちも上手に出来ているので、試してみてください。

ウイルスや花粉が目の粘膜から侵入するのを軽減したい場合、コンタクトレンズとメガネではどちらが効果的ですか?

ウイルスや花粉の予防にはメガネの方が効果的です。なぜなら目を触ることでウイルスの侵入を招いてしまう恐れがあるからです。また、メガネには飛沫をブロックしてくれることも期待出来るため、コンタクトレンズよりもおすすめ出来ます。とはいえ、現在はコンタクトレンズに対応したアレルギー結膜炎の点眼薬もあるため、ご自身の用途に併せて選択いただければと思います。

手軽に出来る花粉症対策を教えてください。

空気清浄機がおすすめです。また、ご自身が花粉症でなくてもご家族に花粉症の方がいる場合は洗濯物を外に干さず、乾燥機を使用してほしいです。ご自宅に入った花粉は溶けてなくなることはありませんし、掃除するまで蓄積してしまうので、ご自宅の中に花粉を入れないことが重要ですね。

女性はメイクをする際、花粉の付着を可能な限り減らすためマスカラをあまりつけすぎないように注意してください。また、まつげエクステを施術してもらう際にも、できるだけ細いものが望ましいです。

また、動物の毛などにも花粉が付着しやすいので、ペットのお散歩は花粉が少ない早朝・深夜におこなうとよいと思います。

錠剤を口の中で溶かすだけ?アレルギー治療にも手軽な方法が

最先端の花粉症治療を教えてください。

スギ花粉とダニアレルギーに対しては、おすすめの治療があります。ラムネのような甘い錠剤を毎日、舌の下に溶かすだけです。(舌下免疫治療)アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ投与することで、アレルギー反応を起こしにくい状態を作り出す治療ですね。いざスギやダニが侵入してきたときに体がびっくりしないよう慣らしておくのです。

以前は注射で行っていましたが痛みが強かったので、より安全で家でも対処できるように錠剤で行うようになりました。また、レーザー治療もありますが、症状を和らげるための対症療法なので、花粉症を完治させるものではありません。

スギ花粉の舌下免疫治療だと夏に始めるのがおすすめなので、ご興味あれば症状がまだ出ていない元気な時にお近くの医療機関までお越しください。5歳以上から始められ、比較的効果が期待できます。

舌下免疫治療にはどのくらいの期間が必要なのでしょうか。

治療を開始してから3ヶ月後には効果が出始めますが、完治には2〜3年を要します。服用期間は主治医と相談してください。 ただし、一度中止して再び症状が表れても、服用を再開すれば以前より早く効果が表れます。

子どもは皮膚の変化に要注意、しっかり見守って

小さなお子さんがいる場合、どのような注意が必要でしょうか。

お子さんの皮膚が荒れたら体に何か異変が生じているはずなので、かかりつけ医にご相談してはいかがでしょうか。大人の女性も風邪を引いたときや身体にストレスを感じた際、化粧のノリが悪くなったりしますよね?皮膚に変化が生じるのは子供も大人も同じなので、ぜひ気にかけてあげてほしいです。

肌が荒れている、夜ぐずついている、寝言が多くなった、母乳を飲み方に変化があったなど直感的におかしいなと思ったら、遠慮せずにかかりつけ医に相談しましょう。

また、お子さんと一緒に感染症や花粉症のことを勉強して、予防をしていくことが大切です。それが家庭内感染・家族の健康を守ることにつながります。小学校に入る前には給食が始まるので、食物アレルギーも含めて検査をしておくのがよいでしょう。

花粉症を防ぐには自分の体をよく知り、根気よく向き合うこと。

花粉症の原因となるアレルギー源は誰もが持っているものです。花粉症になると免疫力が低下し、コロナウイルスなどの感染症にかかりやすくなる懸念もあります。

とはいえ、コロナウイルスの感染を恐れて通院を我慢している方もいらっしゃるかもしれません。ですが、松尾先生のクリニックはもちろん、換気と消毒の徹底や、医師との会話を最小限に抑えるなど、濃厚接触感を避けて感染予防を徹底しているクリニックがほとんどです。

ホームページで感染対策状況を紹介しているクリニックも多いので、心配な方は事前にチェックしてみてくださいね。

くしゃみが出やすくなった、皮膚が乾燥するようになったなどの異常を感じたら、アレルギー検査をすることが重要です。松尾先生、ありがとうございました。

おはな診療所

東京都渋谷区笹塚1-56-10 笹塚総榮ビル2F(auショップ上)

笹塚駅より徒歩1分。

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